「映画」怒り 犯人は何故・・・ ※（注）ネタバレあり
山神が暴れた理由は一体なんだったのか
映画「怒り」を観てきました。
この映画自体はあまり注目していた訳ではなかったのですが、たまたま彼女が原作を読んでいて見に行きたいとの事で、予告見て面白そうだなと感じたので初日に行きました。
映画レビューなんて書いたこと無いし、具体的なあらすじやネタバレは他のブロガーさんにおまかせするとして（笑）
今回は何故、犯人・山神が民宿で暴れ回って逃げたかについての考察をします。
山神の行動一覧
まずは山神のとった行動を整理していきます。
①離島で泉と出会う。（その際に「ここに俺がいることを誰にも言わないで欲しい」と言う。）その後も泉は何度も離島に訪れ、田中と触れ合うことで母親に連れ回されて疲れていた泉の心を癒やす。
②那覇で泉・辰也と会う。居酒屋で泡盛を飲み、辰也はベロベロになる。辰也は泉が山神と仲がいいことに嫉妬していた。居酒屋を出た後、泉・辰也と山神は別れる。（「ごちそうさま」ということから、山神が奢ったことがわかる。）その後、泉は米兵に強姦され、それを見ていたのにも関わらず助けられなかった辰也。泉の「誰にも言わないで」という約束を守りつつも、どうにか米兵の問題を解決したいと思うようになる。（しかし、父親が基地問題の活動家であり、活動をしたところで何も変えられていないという現実も知っている。）
③山神は辰也の民宿で働く。辰也の母は山神について「なんでも器用にこなす」と褒めて「信頼」をおく。辰也は自分の部屋で、米兵の問題についてどうにかしたいと山神に話す。（この時、いとこが米兵に襲われた、ということにしている。）辰也の真摯な思いに山神は、「沖縄の味方になるとは言えないけど、辰也の味方だからな」と、辰也との思いを分かち合う。
④山神が民宿の客のキャリーバッグを雑に扱う。その後山神は実はあの夜、泉ちゃんが襲われるところを見ていたと辰也に話す。「どこにもぶつけられない怒り」が自分の中にあるという事を告白する。（この時期、テレビで犯人・山神の整形後の写真が公開され、それを見た辰也の母は似ていると思いつつも「まさかね」と笑い、気にしていない様子だった。
⑤民宿で暴れる。民宿内のものをフライパンなどで全て壊し、二階の窓から自分のリュックをもって逃走する。いきなりの出来事に、辰也も辰也の家族も呆然とする。
⑥辰也は離島に山神がいるのではないかと、船を走らせる。離島の廃墟には山神のリュック、壁には「怒り」の文字。山神は外におり、ナイフで自分の顔を切っている（恐らく、３つならんだほくろをとっていた。）そして辰也に、「泉が米兵に襲われていたのを見てウケた、米兵がびびって逃げやがって、最後までやれよ！」などと話す。
⑦怒りを沈めるために山神は倒立をする。辰也は信じていた山神に裏切られたことに怒り、落ちていたハサミで山神を刺す。その後辰也は壁に書かれていたもじを削って消す。
突然すぎる山神の「怒り」
山神は民宿で怒り狂う以前までは、平然と民宿の手伝いをしていた。にも関わらず、何故いきなり暴れ出したのでしょうか。
映画を見ていて、解釈が難しいシーンはいくつもあったのですが、ここが一番疑問に思いました。映画の要素から考えられる３点を下記まとめます。
①信用してくれる人と、その反面罪悪感（いい人説）
辰也や泉、辰也の母親は、素性の知れない山神に対しても信頼を置いていた。山神はそんな環境に今までにない幸福感を感じつつも、自分が本当は殺人を犯して逃亡している悪人だということを隠していることの罪悪感でいっぱいだった。
②隠すことに限界がきていた（キチガイ説）
山神は「起こったことを何でも書き写す癖」があった為、自分の写真がテレビに出ていることも本当は書きたくて書きたくて仕方なかった。辰也と真剣な話をしている時でも、内心は「本当はこうだったんだよ」と心の中であざ笑い、事実を伝えてしまいたい気持ちでいっぱいだった。
③犯人だとバレるのも時間の問題だと悟った（発狂説）
テレビでの情報公開により、これ以上逃げ続けるのは無理だと悟った。その中で山神は、「悪いのは自分じゃなく、この社会だ」と、怒りの矛先を社会に向けて、民宿（＝今の自分のいる社会と見立てる）を破壊した。
解釈は人それぞれ
自分なりの説を書いてみましたが、どれも無理やり感がすごい。笑
結局「怒り」の理由と矛先はわかりませんでしたが、恐らく正解というものはないのかな、なんて思います。
原作を読んだ人から聞いた所、原作では山神が何故殺人を犯したのかというのは書かれていなかったそうです。映画では書かれていましたが、それはこの映画の解釈の選択肢を増やすものであって、決定的な理由にはならないのかなと思いました。
他の人がどんな解釈をしているのかも気になります～
以上です！ありがとうございました。
